彼氏がいたから友達ができなかったのか

2020/01/30 19:39
きっとそうなのだろう。

恋人のほとんど途切れない青春だった。

ある日、わたしってずっと深く仲の良い友達ってそんなにいないな、と思いあたった。高校3年生の頃だった。

友達がいないわけではないのだが、おおむね広く浅くで、わたしとあなたで相思相愛の成立するような、この人だけと仲が良い、というような特定の人は、いなかった人生だったな。

そう母に言うと、あんたは彼氏とばかり仲良くしてるからじゃない、と言われた。あ、そういうこと?と思った。恋愛と友情って同じ器の場所を取り合うものという認識がなかったけど、世間的にはそういうことになっているのか。

別にどちらを優先しているつもりもなかったのだが、結果的にはその後の人生もずっとそういう傾向のもとに歩んできたように思う。(いま友達でいてくれている方々のことは大好きです。これからもどうぞよろしく。)

なんでそうなったんだろうな、というのは今書きながら考えることなのだが、人間関係に奥手だったから、というのはあるかもしれない。

いまだ引きずっているのかとツッコみたくなるが、小学生のときのクラス替えで友達がうまくできなかったのがずっといつでも陥りうる奈落のように目の端に陣取っていたように思う。

友情は怖い。勝手に仲が良い友達だと思っていたら、わたしが一番好きなのはあなたじゃない、勘違いしないで、と言われる可能性もある。というか、言われた。
小学3年生のある日、一番仲が良いと思っていた友達といつものように帰ろうと、玄関口で待っていたら、
「なんで待ってるの。一緒に帰るなんて言ってない。」
と言われて世界がフリーズした。

それに引き換え、
あなたが好きです、私もです、
告白という言葉で約束された関係なら明快だ。いつ何時もあなたがわたしの一番であると保証してくれているのだから。

この歳になってついぞ自分から告白したことがないのだが、それもこれもあの奈落に二度と落ちたくないという恐怖があったからではないだろうか。

一番でいてくれる人がいることに安心して、友情に踏み込むことをしてこなかった。もしかしたら人間関係修行においてある種楽をしてきてしまったのかもしれないな。
今こうして吐き出すことで、その呪いを少しずつ溶かしている。

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神崎琴音